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京浜歴史科学研究会 事務局の皆さん


京浜歴史科学研究会 活動のご紹介




京浜歴史科学研究会 事務局

 京浜歴史科学研究会(以下「本会」)は、1981年11月に横浜市の神奈川県民ホールにおいて開催された自由民権百年全国集会の現地実行委員会を母体として、1984年に発足しました。現時点の会員は約40名であり、大学教員・中高教員・市民などによって構成されています。
 本会の目的は「京浜地域の勤労者・住民を主体とする、地域史の学習・研究活動をすすめる」「京浜地域における歴史教育の科学的・民主的発展に寄与する」「京浜地域の勤労者・住民による文化的諸活動の自主的・民主的発展につとめる」(会則)などです。

 本会の活動の中心は「『神奈川県史』を学ぶ会」(以下「学ぶ会」)です。現在は8月を除いた毎月1回、横浜市中区の野毛地区センターを拠点にして実施しています。「学ぶ会」は、「幕末開港編」と「大正昭和編」という二部構成で行われています。
 「幕末開港編」は、現在は『新横須賀市史 資料編 近世一』を学習しています。この学習会では、ペリー来航以前の海防体制や浦賀奉行所の実態などを主に扱い、討議を行っています。「大正昭和編」は横浜市鶴見区の地域名望家であった佐久間権蔵の日記を読んでいます。この日記は横浜開港資料館が翻刻していますが、現在は翻刻されていない大正6年以降の日記の原史料をコピーして解読作業を続けています。『佐久間権蔵日記』は、鶴見地区を中心として地域がどのように変貌していくかをたどっていける好史料です。
 「学ぶ会」における史料の読み方はこの会を始めて以来ほとんど変わっていません。すなわち、@史料の読み合わせ(声を出して輪読)、Aその史料の解釈、B史料の背景についての報告・討論、という形式で行っています。この「学ぶ会」は、じつに歩みの遅い活動です。一回の「学ぶ会」で多くの史料を読んでいくわけでもありません。討議の場において出された疑問が、相当後になってやっと解明されることもざらです。「学ぶ会」に出たからといって、簡単に何か研究成果に結びつくという即効性があるわけではありません。しかし、ひとつの史料をとことん読みこんでいくことが、その史料から見えてくる人物や地域、時代の背景に確実に迫っていくことにつながると私たちは実感しています。

 こうした研究活動を基礎に多くの市民と学びあうことを目的としているのが、毎年春と秋に実施する「歴史を歩く会」(以下「歩く会」)です。当初は京浜地域を中心として歩いていましたが現在は神奈川県・東京都の多くの場所を歩いています。
 「歩く会」のコンセプトは、「歩くコースにストーリー性をもたせる」「最新の学問水準による説明をする」、そして「目に見えることは全て紹介・説明する」ことです。当日はその執筆者が参加者に案内と説明を行います。この作業を丹念に行うことがその地域についての学習となり、多くの地域の歩みを学ぶ機会になっています。毎回40〜50名の参加者を得ています(2020・21年度はコロナ禍のため休会いたしました)。
 本会のこうした活動は、毎月発行する『京浜歴科研会報』と年1回の『京浜歴科研年報』において紹介しています。

 このように本会は、京浜地域を研究対象として地域の実像を歴史的に探る活動を展開してきました。この会を学習・研究の場として、その後、研究者として活動を展開していったり、中高教員としてその成果をそれぞれの授業などに生かしてきました。
 ぜひ多くの方が、本会の活動に興味を持たれ参加していただければ幸いです。

京浜歴史科学研究会事務局 大湖賢一

写真は2018年秋の歴史を歩く会『上野戦争150年を歩く』にて撮影